2008年12月22日月曜日

「匂いを運ぶ風」

一時的でなく生まれてから死ぬまで生涯にわたってパジャマを挟んでその外側全てが自分の中身で内臓側が自分の外だという感覚を反転することが出来なかった人を襲った、地中に深く挿したアンテナで地殻を透過する電波を送受信する通信のやりすぎで起こった地殻変動による災害の後に漂う、吸い込むと脳の一部分が刺激されて興奮する発電所からあふれ出てくる濃厚な電気の匂いを運ぶ、毎晩新しい寝袋で眠って起きたらそれをゴミ袋にしてごみを詰めて捨てまた新しい寝袋で眠る生活をする人が増える、少年のころの記憶のせいで効率が悪くなっていると感じ少年のころの記憶を消して効率を良くしようとする社会に吹く、1920×1200の小さな炎がびっしりと並ぶコンロの上で表面の皮に当たる小さな無数の炎の刺激を個別に死んだ脳に送りながら焼かれて出来た魚料理の匂いがする、こすると粉になってしまうが生きていくためにはこすり続けなくてはならないというものの粉を舞い上げ口に放り込んでくる乾いた風。

2008年12月5日「災害の後に漂う匂い」2008年12月2日「社会に吹く乾いた風」

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